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中 川 楼
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〒310-0026 茨城県水戸市泉町3丁目5‐6 Tel:029-231-3318 |
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そういう由緒ある店だから、ガラス戸を開ければテーブル席と小上がりが見えるというような、ありふれた鰻屋ではない。店の前には石畳が敷き詰められていて、「蒲焼中川楼」と墨書きされた天然木が掲げられた立派な板塀があり、竹垣に囲まれた細い小路を通って行くと、横手に広い玄関がある。玄関が通りに面していないのは、店を出入りする客を、直接、通行人に見せないという、店の配慮が感じられる。 玄関のガラス戸を開けると直ぐに和服の女性が出てきて「いらっしゃいませ」と三つ指をついて迎えられる。【最初に訪れた時は、かなり緊張を強いられる瞬間である。】 この「中川楼」にテーブル席はなく、全て大小の部屋に案内されることになる。玄関を上がった直ぐ左が帳場と焼き台のある調理場で、廊下の先に十部屋ほどあるが、夫々が全て手の込んだ造りとなっていて、さすが由緒ある割烹だと思わせる。少し前までは予約をしないと店に入ることが出来なかったが、それでは仕事にならないということで、最近になってフリの客も入れるようになったそうだ。【確かに客層の差・利用時間帯の差などがあるにせよ、この「中川楼」から直線距離で200mほど近くの鰻屋「ぬりや泉町大通り店」の昼間の繁盛振りを見ると、何とかしなければと思うのは無理からぬことと思われる。】 店に入った時点で案内の女性が付くが、その女性が「担当」ということで、部屋への案内・料理の運搬・お茶の入替と、全て彼女の世話になることになる。 通された部屋は床の間付きの八畳間で、ガラス窓からは庭が見える。注文を聞いた「担当」の女性がお茶菓子とお茶を置いて行った後は、全く音沙汰がなくなり、不安になるくらいである。 たっぷり小一時間ほど待たされて出てきた鰻重は、丁寧に焼かれた蒲焼きの色艶が見事だった。一口食べてみると、ふわっとした焼き上がりの身は脂が乗っていて、甘さを抑えたタレは正に江戸前であった。旧制水戸中学に通っていた船橋聖一を始めとする東京の文士が水戸に来るとよく寄ったという話がある通り、この東京風の鰻は気に入った。 西瓜やメロン等の季節によって変わるフルーツが、食事が終わるタイミングを見計らって出されるのも、普通の鰻屋ではなかなか出来ないキメ細かなサービスである。【鰻重〔茶菓子・肝吸い・フルーツ付〕サービス料込み税別 2,800円】 そんな具合で、テーブル席や小上がりに慣れた身体だと最初は緊張してしまうが、一旦、気心が知れてしまうと、とても居心地が良い。気の置けない友人達と俗世を離れ、蒲焼きを箸でつつきながら酒を飲み交わして、昼間からトロトロするのには最適だと思われる。 水戸に行った次の機会に再び「中川楼」に寄ってみると、前回の女性が担当だったので、親しさも込めて聞いてみた。 「もっと鰻を沢山食べられるのはないの?」 「鰻丼で御飯の中にもう一段蒲焼きの入ったものがあります。」 「それは何と言って頼めば好いの?」 「特に名前はありませんが、『特丼』とでも言って貰えば分かります」 とのことだったので、早速その『特丼』を頼んでみた。 【特丼〔茶菓子・肝吸い・フルーツ付〕サービス料込み税別3,600円】 前回通り待つことしばし…、出てきた丼は普通の丼より一回り寸法が大きくて御飯の盛りが良く、いかにも中に仕掛けがありそうだった。蓋を開けると、相変わらず見事な蒲焼きが白い御飯の上に乗っている。食べ進むと御飯の中に埋まった蒲焼きが見えて来た。熱々の御飯、甘くないタレ、そして十分すぎる量の蒲焼き…、ではあったが、埋もれた蒲焼きの下、丼の一番底の部分の御飯にタレが集中してビタビタになってしまっていたのが、私には残念に思えた。 どの店でも言えることだ、鰻重は一段で良いというのが私の結論である。 |
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