えびや 


〒965-0035 福島県会津若松市馬場町 1-21 
Tel:0242-22-1288

飛鳥 外観  土用丑の日が近づくと、福島県内の民放TVの画面に必ずと言って良いほど登場するのが、この会津若松の鰻屋「えびや」の店内風景の賑わいである。【土用丑の日、この「えびや」は鰻供養で休業するので注意】TVに写る焼き台の前で汗をかきながら鰻を焼いている職人の姿が印象的だった。従って、以前から一度は行かなければならないと興味を持っていた。
 機会を窺っている中、たまたま「えびや」に行ったのは2005年の 9月23日だった。その日は丁度会津秋祭りの真っ直中で、会津若松は観光客が溢れ、市内の道路はどこも異常なほど混んでいた。交通規制で通行止めになる寸前、渋滞の中をようやく辿り着いた「えびや」は旧市街にあって、店はいかにも古めかしい二階建ての木造家屋であった。

飛鳥 入口  道路沿いの白い障子戸4枚には黒字で大きく「鰻」と書いてある。また入り口には紺地に白く「う」と、一文字大きく染め抜いた日よけ幕が張ってある。
 店内に入ると、外見と同じく柱から床板まで古色蒼然としていて、明治か大正時代にタイムスリップしたかのような感じになる。それほど強力でない小型台風でも会津地方を直撃したら、ひとたまりもないように思われる。それでも、玄関正面の一階から二階に通じる階段の踊り場は奇妙なシンメトリー(左右対称)になっていて、古い中にある意外な新しさがこの建物が徒者でないことを物語っている。
 

飛鳥 店内 その日、幾つもある部屋は祭りのためかどこも満席で、店内を従業員が忙しく動き回っていた。これでは大分待たされなければならないと、通された二階の小部屋で覚悟を決めて腰を落ち着けたが、ものの10分も待たない内に注文した白焼きと鰻重が一緒に出て来た。【両方頼むと白焼きが先に出て来るのが普通である。】
 拍子抜けして鰻を見たところ、白焼き・鰻重に乗せられた蒲焼き共に照りがなく、焼きたてではないことが一目で分かる。また蒲焼きの焦げ目から見ても、焼きそのものも丁寧とは言い難い代物であった。

鰻重二段  口に入れると蒲焼き独特の表面の柔らかさがなく、と言って関西風の表面のみがパリッとしているわけでもない。タレはかなり甘めである。
 しかし、これは行った日が、たまたま店中が戦場のような祭りの日と重なったせいなのかも知れない。波のように訪れる客を捌くために「えびや」が仕方なく取った次善の策なのかも知れない。もう一回、別の日を選んで行かないと判断を間違える恐れがあると思った。

 

バラ焼き そこで、約半年後の2006年の 6月、梅雨の晴れ間の土曜日に確認のため、再度「えびや」に行ってみた。店先に立った時から美味しそうな蒲焼きの香りが鼻をくすぐり、期待に胸が膨らむ。【どこの鰻屋も店に入る時はそうであるが…】暖簾をくぐると、たたきの左横に焼き台のある調理場がチラッと見えた。
 今回は昼を少し過ぎていたこともあって、客も以前の混雑がウソのようにぐんと少な目で、通されたのは一階の小上がりとテーブル席のある部屋だった。それでも、鰻重が出て来たのは注文して 5分足らず、鰻屋にしては余りに早くて落ち着く間がない。
 また、鰻重は大串(1,600円)と中串(1,200円)の二種類があって、大串を頼んだが価格が比較的安いせいもあって、乗っていた蒲焼きは一般的に言う「大串」とは言い難い大きさであった。
 更に 5分足らずで出てきたということは、既に焼き上がった蒲焼きを焼き直してご飯の上に乗せているのであろう。前回の 9月の時と同様、表面の硬さと乾き具合は、裂きたて焼きたてでないことを物語っていて、食べた時の唇の触感や舌先の感じでもそれは分かる。

  鰻重一段白焼き肝吸い

 ご飯は、メニューに会津産のコシヒカリを使用していることを表示しているだけあって、標準以上の美味しいご飯であった。しかし、甘めのタレがふんだんにかかっていたので、私には少し荷が重かった。
 唯、会津地方の観光拠点である会津若松の、老舗としてのサービスはとても心地良かったことだけは言っておきたい。
 この店舗の歴史と佇まい、そしてサービスは「会津一」を謳うに相応しい。あとは今一歩の、そして本命の鰻自身であろうか。