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蒲焼きの「焼き」と「蒸し」について |
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私は鰻が大好きだ。北は北海道の釧路から南は熊本県の八代まで、転勤族として全国を渡り歩きながら、美味しい蒲焼きを探し廻ってきた。 しかし、同じ鰻の蒲焼きでも、ご承知の通り関東と関西では料理法が異なる。関西は直火焼きなので、内部は柔らかくても表面がパリッとしている。関東は途中に「蒸し」の工程が入るので、全体にふっくらと柔らかい。これは、関東の鰻は冬の寒さを過ごすので関西より脂が乗っているため、脂を落とす目的で、焼きの工程の中で一旦、時間をかけて蒸すのだと聞いた。 |
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尾花・店先
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尾花・外観
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尾花・店内
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尾花・セット
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尾花・鰻重
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尾花・肝吸い
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一方、麻布「野田岩」もファンの多い鰻屋である。「野田岩」の鰻こそ日本一と押す人も少なくない。しかし、何回か足を運んだものの、私にはどうもそれほど美味しい蒲焼きには思えないのである。「野田岩」の蒲焼きは丁寧に処理されて焦げ目こそ見えないが、身が痩せていて何となく貧弱に感じるのだ。そして口に入れた時のふっくらとした柔らかさに欠けるのである。また、蒲焼きを食べていると、なぜか鰻の身のバサバサした繊維状のもの口に残る。辛口のタレは、さすがに東京の銘店だと思えるが…。 |
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野田岩・店先
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野田岩・外観
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野田岩・店内
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野田岩・セット
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野田岩・鰻重
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野田岩・肝吸い
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| 素焼きが終わったら、蒸し器に鰻を移す。蒸しも非常に微妙で、時間が短すぎると脂臭さが残るし長すぎると身が崩れてしまうので、本来は鰻の個体の大きさと脂の乗りに合わせて時間を調整しなくてはならない。数十分間蒸し器で脂を落とした後、再び焼き台に乗せ、夫々の店秘伝のタレが入った容器に浸けた「照り焼き」という形で数回焼きを繰り返し、ようやく蒲焼きが出来上がる。 ところで「焼き」と「蒸し」を、加熱による物性の変化いう観点から見てみると、次のようになる。【あくまで私見であるが…。】 ●焼き : 直火で加熱→表面温度上昇→表面の水分が蒸発→表面が硬化→ 焼ける・焦げる→水分が蒸発したことで全体に収縮→厚さが減る。 ●蒸し : 蒸気で過熱→全体温度上昇→脂分が液化・滴下→全体的に柔らかくなる→ 焼け焦げは出来ない→収縮はない→厚さに変化はない。 ここまで読んで分かって頂けたと思うが、「尾花」の蒲焼きは「蒸し」の特徴が強く出ている。「野田岩」の蒲焼きは「焼き」の特徴が色濃く出ている。ということは同じ関東風ではあるが、より「蒸し」に比重をかけたのが「尾花」の蒲焼きであり、より「焼き」に比重をかけたのが「野田岩」の蒲焼きだということにならないだろうか? 「『焼き』だろうが『蒸し』だろうが、そんなこた美味けりゃどっちでも構わないじゃないか!」という向きも多いと思う。しかし、その辺りのことを、諸先輩そしてプロの鰻職人からお教え頂ければと思っている。 |
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